プチパレの版画展

聖エウスキウスを描いた版画 美術展
憂鬱のアレゴリーの版画
メランコリア I デューラー

パリの美術館プチパレで開催されていた版画展に行ってきました。デューラー、レンブラント、ゴヤなどの版画を集めたデュテゥイのコレクションを紹介しています。1902年に兄弟のオーギュストの死後、ウージェンヌ・デュテゥイは彼らの1万2千点の作品をパリ市に寄付します。そしてこれが現在のプチパレの版画コレクションとなります。

聖エウスキウスを描いた版画
聖エウスタキウス デューラー

デュテゥイの版画コレクションは、有名なアーティストの名が連なっています。この展覧会は『白黒の宝』というだけあり、貴重で質の高い版画作品が集められています。前半の展示はアーティストごとにまとめてあり、デューラー(1471-1528)から始まります。彼はドイツの画家、版画家であり幾何学と線遠近法の理論家でもありました。そのためか作品のモチーフを正確に描いていきます。馬や犬の筋肉、植物の枝葉の表現は生物学や植物学の教科書みたいですね。少しぼやけている奥の城には、彼の遠近法の知識が生かされています。彼の作品を見ていると、版画でもかなり細かいところまで描き込めるんだなと感心してしまいます。

レンブラントの版画

窓際で版画制作するレンブラント レンブラント

そしてレンブラント(1606‐1669)の版画コレクション。レンブラントといえば自画像が有名ですね。彼は光の画家とも言われています。ここでも窓の光と奥の暗い壁が対照的です。彼は自画像を沢山制作したことでも知られています。彼の描いた人物の表情は見る人に強く訴えかけてきます。この自画像は1648年のもので、彼の人生に陰りがさしている時期でもあります。作品からその様子が伝わってきます。衣装も一時期の派手なものから、かなり地味になってますね。

版画は、実物も印刷したものもそれほど変わりないと思っていた。しかし版画も絵画と同じく、手作業で一枚一枚作成します。試し刷りを重ね、納得いくまで試行錯誤を繰り返し完成させていきます。白と黒の限られた表現であるからこそ、際立つ表現やメッセージがあるのかもしれません。

関連サイト/パリ市美術館(仏語)

今月の美術展

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