『マーク・ロスコ』ルイヴィトン財団美術館

赤の中の茶色と黒 美術展
赤の中の茶色と黒 1957年
No7 1951年
No7 1951年

ルイヴィトン財団美術館で開催されている『マーク・ロスコ展』に行ってきました。

アメリカの20世紀美術を代表するマーク・ロスコ(1903年‐1970年)。前回のパリでの個展は1999年のパリ市立近代美術館で24年前である。今回は、ワシントン・ナショナルギャラリーやロンドンのテート・モダン、ワシントンのフィリップス・コレクション、ロスコファミリーのコレクションが集められた。展示は時系列で、ロスコの初期の作品から代表作となる抽象画の順で見ることができる。

音楽や詩のように強烈な感情を引き出す絵画

赤の中の茶色と黒
赤の中の茶色と黒 1957年

ロスコは「私が画家になったのは、絵画を音楽や詩のように強烈な感情を引き出せるようなレベルに高めたいからだ。」といっていた。

彼は当時ロシア帝国のラトビアに生まれる。ユダヤ人の父がアメリカに移住したことから1913年よりこの地に住む。学業優秀でイエール大学に進むが学位は得ていない。

大学に失望した後、1923年よりニューヨークに住む。そして25年からパーソンズ大学に入学しグラフィック・デザインを学ぶ。

その後1930年代まではニューヨークの地下鉄の様子を描いた具象画などを描いていた。しかし40年代から、抽象画に画風が変わる。そして画面に浮くいくつかの色の塊が均等を取るように配置された絵を描くようになる。その後、それらの色の塊は減少していき、1950年代からは黄色、赤オレンジの組み合わせまたは青と白の組み合わせとなっていく。これらの三組または二組の長方形ををリズミカルにキャンバスに重ねていくようになる。

 

シーグラム壁画、ユネスコ本部、実現しなかった企画

シーグラム壁画 ロスコ
シーグラム壁画 1958年
無題、黒とグレー ロスコ 1969年
無題、黒とグレー ロスコ 1969年

また今回の展覧会では1958年に制作された、シーグラム・ビルディングのフォーシーズンズ・レストランのための『シーグラム壁画』も展示してある。この作品は注文主にわたることはなかった。というのも自分の芸術作品が、レストランの装飾になることが耐えられなかったらしい。当初自分が想像していた作品の設置状況と現実に違いがありすぎたようだ。その後ロトコは、完成した作品をロンドンのテイト美術館に寄付した。

そして50年代後半からロスコのパレットは暗くなってゆく。1969年から翌年にかけて作られた黒とグレーの作品群は、彼のうつ病が影響しているという説もある。またこの色合いは、アルベルト・ジャコメッティの彫刻から影響を受けたともいわれる。というのもこれらの作品はパリのユネスコ本部にジャコメッティの彫刻と一緒に展示される予定で描かれたからだ。しかしユネスコは最終的にこのプロジェクトをエルズワース・ケリーに託した。

 

作品と展示方法の関係

ロスコの作品は大型である。それは見ている人が作品の中に入っていける感覚を与えるためだ。私たちはロトコの絵の前また絵の中に入り瞑想をする。

彼は自分の作品が展示される時、自分で作品展示を数センチ単位で調節していく。というのも彼の絵画は、展示方法次第で作品の魅力が損なわれるからだ。その為か展示の条件が合わないと作品ができても納品はされない。

今回のルイヴィトン財団美術館の展示も、絵の明るさが引き立つように証明は暗くされていた。ポンピドゥーセンターなどで見る場合は、他の作品もあるのでロスコのためだけに照明を暗くすることはできない。このような条件で見られるのも個展の醍醐味である。

参考サイト/ルイヴィトン財団美術館

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ルイヴィトン財団美術館の情報

Fondation Louis Vuitton

開館時間 月、水、木、金 12時から19時、土、日曜 11時から20時(チケット販売は30分前まで)、閉館日 火曜日

住所 8 Avenue du Mahatma Gandhi, Bois de Boulogne, 75116 Paris 

地下鉄 1番線Sablons駅から950m

バス  73番La Garenne-Colombes-Charlebourg

シャトルバス  ルイヴィトン財団美術館の開館時間帯20分間隔で運行 停留所は44 Avenue de Friedland, 75008 Paris(地下鉄、RER線のCharles de Gaulle Etoile駅の2番出口前) 

 

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