印象派の女性画家として知られるベルト・モリゾは1841年ブールジュで生まれた。父親はシェール県の知事で、彼女は恵まれた家庭に育った。両親は芸術に関心が高く、父親は建築の勉強もしていた。そしてモリゾの母は二人の娘、ベルトとエドマに絵の教師を進める。その後二人とも将来はプロの画家になるのではないかといわれるほど上達していく。しかしエドマは結婚後、絵を描くことを辞めてしまう。姉は妹の絵の主題になり、のちの人々にその名を知られるようになる。
またベルト・モリゾは、印象派のエドゥアール・マネのモデルとしても知られる。そのためマネの影響も多く受けている。その後モリゾは、エドゥアールの弟のウージェンヌ・マネと結婚をする。そして一人娘ジュリーを出産する。
また若いころには、野外写生にも興味を持ちコローにも指導してもらう。そして画家として活動し、ドガ、ルノアール、モネなどの印象派と交流を持つ。当時女性画家は少なかったが、彼らと共に印象派展に出品することになる。
モリゾとマルモッタン美術館
モリゾは若いころの作品を残していない。そしてほとんど作品を売ることはなかった。この印象派女流画家の作品が他の印象派の画家よりも知られていないのは、そのためでもある。
マルモッタン美術館には、モリゾの子孫が寄付した世界で有数のコレクションがある。ノルマンディー地方の風景がやニースの海景、女性の肖像画などから、彼女の作品の変化を見ることができる。これらのモリゾ特有の明るい色使いやパステル画、自由な筆使いは友人達より高く評価されていた。そしてこの美術館にはモリゾの25枚の絵画、65枚のアクリル画、パステル画、デッサンが保管されている。
18世紀美術の影響
今回の展覧会では、モリゾの作品の中に見られる18世紀美術の影響に焦点を当てている。
1875年に制作した『舞踏会にて』では、18世紀の扇を持った若い女性が描かれている。この扇はモリゾが実際に所有していたものである。ここに描かれているモチーフはブーシェ作の『羊飼いの女性と鳥捕りの青年』である。
また『低木に水をやる若い女性』も、18世紀のフラゴナール作の『若い女性の背中の全身像』から影響を受けている。うなじが見えるように髪をアップにした髪型。何枚にも重なるスカートをたくし上げている様子などの類似点がある。
そして18世紀の画家ヴァトー、フラゴナール、ブーシェなどの作品にみられるパステル調の色合いは、モリゾの作品にもよく見られる。このようなロココの上品で優雅でありながら自由を表現する雰囲気が彼女を魅了したのだろう。
関連サイト/マルモッタン美術館（仏語）
今月の美術展
マルモッタン美術館の情報
Musée Marmottan Monet
モネ作『印象 日の出』は7月14日までオルセー美術館に貸し出されています。オルセー美術館の企画展『パリ1874年 印象派を生み出す』にてご覧になれます。その後9月8にちから2025年1月19日までワシントンのナショナル・ギャラリーに展示されます。
開館時間 火曜から日曜10時から18時（チケット販売は17時まで）、木曜日は21時まで開館（チケット販売は20時まで）、展示室は閉館15分前に閉鎖、閉館日 月曜、5月1日、12月25日、1月1日
住所 2, rue Louis-Boilly, 75016 Paris – France
電話 + 33 (0)1 44 96 50 33
地下鉄 ９番線La Muette駅またはRanelagh駅
電車 RERのC線Boulainvilliers駅
バス 22番線La Muette – Boulainvilliers、32番Louis Boilly ou Ingres、52番La Muette – Boulainvilliers、63番Porte de La Muette、70番Louis-Boilly ou Ingres、PC１番Ernest Hébert ou Porte de Passy
駐車場 Vinci Park Passy (78, rue de Passy, 75016 Paris)
