オルセー美術館で19世紀のパリのポスターを見る
オルセー美術館で開催されていた『アートは街の中に』展に行ってきました。
19世紀、パリの街中の壁をにぎわしていたポスターの制作には有名なアーティストの作品も多い。そして1890年代には、ポスターのコレクショナーも現れた。このようなマニアのために特別に刷られたコレクター用のポスターも存在する。
19世紀後半に拍車がかかった消費社会にも、ポスターは大きな貢献をした。そして流行の洋服や家具などを扱う店は、1830年に300件あったが1862年には1300件になる。そのため人々にあらゆる商品を買わせるため、街はデパートの広告や商品広告で埋め尽くされた。
また19世紀のパリといえば、キャバレーやダンスホールの娯楽が流行った時代だ。その宣伝のために、有名芸人と有名画家のコラボレーションポスターがいくつも作られた。そしてこれらは、今では美術館のコレクションになっている。


19世紀のポスターの種類
パリジャンは地方の人々より購買力があったので、街のいたるところに消費を促す広告があった。そして1881年の言論の自由の施行の後は、広告の表現方法も広がっていった。そんな中、ポスターを専門とするアーティストが台頭してきた。またポスターの印刷技術も発達し、カラーポスターが出現する。
街を彩ったポスターは広告だけではなかった。政党、労働組合、改革を呼びかけるポスターもたくさん出現する。その中には、人種差別的なものもあった。そしてこれらのポスターは、民衆の感情を煽るようなイラストやスローガンが並べられていた。


有名なポスター制作アーティスト
ポスターアーティストの大家として知られるのは、ジュール・シュレ(1836年‐1932年)、アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック(1864年‐1901年)そしてアルフォンス・ミュシャ(1860年‐1939年)などだ。
その中でもシュレは、この分野のパイオニアともいえる。リトグラフィーとデッサンの勉強をした後、1866年にリトグラフィーの工房を開く。そして明るい使いのポスターで成功を収める。
ロートレックは、キャバレーのスターや俳優たちをポスターにしていった。そして詩人で歌手のアリスティード・ブリュアン(アンバサダー)やフレンチカンカンのダンサーのジャンヌ・アヴリルが出演するポスターを作った。
またミュシャは仲の良い女優サラ・ベルナールのポスターを複数制作した。サラ・ベルナールは、自分のイメージをコントロールする初めての女性であった。そしてミュシャの作品のなかの彼女は、理想的な姿で描かれ彼女が演じる役のアクセサリーを身に着けている。彼は、広告としての用途とモデルの要望をうまく掛け合わせて作品を作り上げていた。
19世紀後半のストリートアートであったポスター。その時代のニーズや好みが生き生きと伝わってくる展覧会であった。


参考サイト/オルセー美術館
19世紀のパリのデパートについての記事
オルセー美術館の情報
Musée d’Orsay
『アートは街の中に』展は25年7月7日まで開催
開館時間 火曜から日曜9時30分から18時、木曜日は21時45分まで開館、閉館日 月曜日
住所 Esplanade Valéry Giscard d’Estaing 75007 Paris
料金 大人(18歳以上)日時指定予約16€、大人当日券14€、18歳未満無料、
地下鉄 12番線Solférino駅、RER C線Musée d’Orsay駅
バス 63番、68番、69番、73番、83番、84番、87番、94番
駐車場 Carrousel du Louvre、Bac Montalembert