ルーヴル美術館入場料46%値上げ
2026年1月14日からヨーロッパ圏外在住者のルーヴル美術館入場料が、32ユーロになります。これは、現在の22ユーロから10ユーロ増となります。
これにより欧州経済領域(EEA)以外の来館者には、46%の値上げとなります。近年の最も多い見学者の国籍が、アメリカ人、中国人なので、来年以降は大幅の増収を望めます。
2024年の資料によると870万人の入場者の69%が外国人でした。この料金改定によりルーヴル美術館は年間1500万ユーロから2000万ユーロの増収を見込んでいます。そしてこの利益を美術館の『構造上の問題』解決に充てる予定です。また多くの問題が山積みしている中、優先課題を洗い出す必要があるそうです。
ヴェルサイユ宮殿も入場料を値上げ
近年のルーヴル美術館の値上げには目を引きます。同館は2024年に入場料を17ユーロから22ユーロに値上げしています。
そして欧州経済領域以外の来館者への値上げは、ヴェルサイユ宮殿、サント・シャペル、オペラ座、シャンボール城にも適用されます。
ヴェルサイユ宮殿は、3ユーロの値上げを検討しています。そしてこの値上げにより年間930万ユーロの増収を見込んでいます。しかしこの値上げは、まだ決定されていません。
オルセー美術館については、今のところ料金改定の予定はないそうです。
ルーヴル美術館、宝石盗難との関係
この値上げは、10月19日にあったルーヴル美術館の宝石盗難と関係があるのでしょうか。
欧州経済領域以外の来館者の料金を値上げする案は、既に今年の1月に発表されていました。しかしその時の料金改定理由は、『新ルーヴル美術館』構想の資金調達が理由でした。これは、モナリザ見学のための特別展示室を新たにクール・カレ(正方形の中庭)と呼ばれる、美術館の東側の地下に設置する案でした。そしてこの工事に伴い、『ペローのコロネード(列柱)』といわれる、ルーヴル美術館の東側に入口を増設する予定でした。
2025年1月の時点では、ルーヴル美術館の来館者数が限界に達している問題を解決するのが優先でした。しかし今回の盗難事件で、美術館の安全対策も指摘されるようになりました。この盗難事件は、おおそらく警備の問題だけではないと思います。そのため今回の発表で『構造上の問題(problèmes structurels)』という表現が使われたのだと思います。
歴史のある大きな組織を抜本的に解決するのは、簡単ではありません。そしてそのためには、どこからか資金調達が必要です。しかしフランス政府は、財政難のため特別予算を割り当てることはできません。また自国と欧州の人々が、自分たちの文化施設を利用できない料金は受け入れられません。その結果、観光産業の受益者からの増収を決定したのでしょう。

