3月までルイヴィトン財団美術館で開催されていた『ゲルハルト・リヒター』展にいってきました。
ゲルハルト・リヒターは、(東)ドイツのドレスとで1932年に生まれました。そんな彼の芸術家としての転機は、1959年に訪れます。リヒターは、ビザを取り西ドイツのカッセルで開催されていたDocumenta2を見にいきます。そこで彼は、ジャクソン・ポロックやルーチョ・ホンタナの抽象画作品に出合い衝撃を受けたのです。そしてその2年後に西ドイツのデュセルドルフに移住したのです。
60年代の彼の作品には、写真から絵画を書き上げたものがあります。というのもリヒターは、日常の風景の写真家でもあり、画家でもあるのです。彼の作品の主題は、風景、生物、親密なひと時をとらえたものが多くあります。それに加えAbstraktes Bild(抽象絵)と題した作品も量産しました。
リヒターの作品の源は、写真とデッサンです。報道写真、アマチュアの写真、自分が撮ったものと合わせると1万枚以上あります。そして彼は、モデルを前にして絵を描くことはありません。いつも写真やデッサンなどの媒体を通して作品を作っています。
リヒターのアプストラクテス・ビルトとは?
リヒターの抽象画には、『アプストラクテス ビルト』という題が複数の作品に付けられています。その中でも有名なのは、以前エリック・クラプトンが所有していた『アプストラクテス ビルト(390-4)』です。この作品は2012年に、生存しているアーティスト作品の最高落札額を更新しました(3420万ドル)。
今回展示された作品の中から、92年に制作された『アプストラクテス ビルト』を紹介します。どちらの作品も絵の具が何層にも重なっているのが見えますね。その下の層には、何らかのモチーフが見え隠れしています。そして表面は幅の広い筆で縦、横に線が引かれています。これらの線により最初に描かれたものが隠されたり、またはぼやけた印象になります。
そして幅広い線を引くことにより、そこに存在する色が交じり合い勢いを増します。また絵の具の流れから作者の筆使いも感じられます。リヒターの象徴画のルーツであるアクションペインティングにつながるものもあるのでしょうか。
平凡な風景の先にあるもの
ここまでリヒターの絵を見て、どのように感じられましたか。
最後に彼の風景画と静物画をご紹介します。どちらも平凡な絵にも見えるのですが。これは、彼がなるべく目立たない、どこにでもある風景を好んで描いた結果なのです。また一目見ただけでは、写真か絵かどちらか分からないのも特徴です。しかしよく見ると、山の影や瓶の影が真っ黒に塗られているのがわかります。写真ほどリアリティーを追求しないで、絵の要素を残しているので見ていて不思議な感覚になります。
リヒターの絵画は具象画でも抽象画でもぼかされていたり、表面の色が混ざり合って形がはっきりしない作品が多くあります。しかし人々は、曇りガラスの向こうにあるモチーフの形を想像力の力を借りて見つけます。そしてそれは、抽象画を見る時に、形のないものから自分なりに感じたり想像したりすることに似ているのかもしれません。
『ゲルハルト・リヒター』ルイヴィトン財団美術展の記事
ルイヴィトン財団美術館の記事
ルイヴィトン財団美術館の情報
Fondation Louis Vuitton
デイヴィッド・ホックニー展は8月31日まで開催
開館時間 月、水、木、10時から20時、金、11時から21時、土、日曜 10時から20時(チケット販売は30分前まで)、火曜休館日
料金 大人18€ 学生、教員、25歳以下10€、17歳以下5€、ファミリー料金36€(大人2名まで+子供4名まで)
住所 8 Avenue du Mahatma Gandhi, Bois de Boulogne, 75116 Paris
地下鉄 1番線Sablons駅から950m
バス 73番La Garenne-Colombes-Charlebourg
シャトルバス ルイヴィトン財団美術館の開館時間帯20分間隔で運行 停留所は44 Avenue de Friedland, 75008 Paris(地下鉄、RER線のCharles de Gaulle Etoile駅の2番出口前)

