『ジル・アイヨー』ポンピドゥーセンター

ペンギン ジル・アイヨー作 ポンピドゥーセンターにて ポンピドゥーセンター
ペンギン ジル・アイヨー作 ポンピドゥーセンターにて

パリのポンピドゥーセンターで開催されていた『ジル・アイヨー展』に行ってきました。

この画家は、1928年にパリで生まれ2005年に亡くなりました。父親のエミール・アイヨーはパリで活躍する建築家でした。

彼は『新しい具象(ニュー・フィギュラティヴ)』といわれる流れの画家で、主題を具体的に描いていきます。これは50年代に流行った抽象画と対抗したムーブメントです。

動物画で有名な彼も60年前半は、政治的な絵を作成していました。しかしその後の63年から64年にかけて動物園の絵を描いていきます。彼は、檻(おり)のなか柵の後ろで静かに生活している生き物を描いていきます。

これらの捕らえられた野生動物の生活場所は、鉄の柵にあたる光やさびまで明細に描き込まれています。また写真で撮影されたような構図を使うことにより、主題(動物たち)がより具体的に明確に見えてきます。

 

室内とカバ ジル・アイヨー作 ポンピドゥーセンターにて 
室内とカバ ジル・アイヨー作 ポンピドゥーセンターにて 

無機質な空間の中にいる動物たち

ジル・アイヨーの絵は静けさを与えてくれます。というのも彼が描いた動物園は、コンクリートの清潔な空間で秩序が保たれているからでしょうか。しかしそのためか、野生の生命感が欠けているようにも思えます。そして絵の鑑賞者は、この静かな動物たちを柵越しに距離を置いて観察します。

彼の描く動物園は、コンクリート、鉄パイプ、タイルでできています。それらは余計な装飾はなく、無機質に冷たい印象です。そして動物たちも、その静かな空間に身をゆだねています。これらの作品は余計な感情のない、何かの資料に使う写真のようです。

このような画法は、見ていている者に落ち着きをあたえます。そしてこの静寂さにより、そこに描かれている主題の静かな息遣いを聞き取ることができます。

 

参考サイト/パリ市立近代美術館(仏語)

今月の美術展

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ポンピドゥーセンターの情報

Centre Pompidou

開館時間 月、水、金、土、日曜11時から21時、木曜日は23時まで開館、閉館日 火曜日、休館日 5月1日

住所 Place Georges-Pompidou 75004 Paris 

料金 大人(18歳以上)15€、25歳以下14ユーロ(常設展とギャラリー1または2+コレクション(1)・13ユーロ常設展とギャラリー3と4+コレクション(1))(身分証明書提示必要)、18歳未満無料(身分証明書提示必要)

地下鉄 11番線Rambuteau駅、または1番線と11番線Hôtel de Ville駅

バス 29番、38番、47番、75番

駐車場 Parking Centre Pompidou、31, rue Beaubourg(入口)

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