パリのマルモッタン美術館美術館で開催されている『ウジェーヌ・ブーダン』展に行ってきました。
ウジェーヌ・ブーダン(184年‐1898年)は、印象派モネの師匠ともいわれている。というのも彼は、野外で風景画を制作したはじめての画家であるからだ。
今回の展覧会では、個人コレクショナーのヤン・ギヨンバルクが所有する作品が80点貸し出された。
ブーダンは、ノルマンディー地方、ヴェニス、ブルターニュ地方、ボルドー、フランス北部、ベルギー、オランダと各地の空と海を描いてきた。また彼は風景画を通して、そこに描かれるモチーフや大気の様子の描写に力を入れた。
そして彼は、自然を新たな角度から見つめる革新的な画家のひとりであった。それは、クロード・モネなどに代表する印象派の画家たちの先駆けとなった。またモネは晩年に『自分が画家になれたのは、すべてブーダンのおかげだ。』と言っている。


ブーダンが画家になるまで
ブーダンは港町オンフルールに生まれる。彼は10歳の時にオンフルールとル・アーヴルを結ぶ蒸気船の見習いとして働いていた。その後、印刷所、文具屋で働く。そして1844年、自分の文具と額装の店を出し、そこでこの町に来た画家の作品を飾っていた。またこの仕事を通しバルビゾン派のトロワイヨンや、作家シャルル・ボードレールと知り合いになる。
ブーダンは1844年よりミレーやトマ・クチュールに励まされデッサンを描き始める。そして早々と商売を放棄し芸術家になる決心をする。手始めに彼は、ル・アーヴルの町のデッサンクラスで絵画の勉強を始める。その後、画家たちや地元のジャーナリスト、学芸員からの推薦を受け町の奨学金をもらう。この資金で彼は3年間、パリで絵画の勉強をする。
ブーダンは1864年から毎年夏をド-ヴィル・トウヴィルに滞在する。ここで58年から知り合いだったモネと一緒に、キャンヴァスを立てて描くことになる。
そして彼は1874年の第一回印象派展に参加する。このころよりブーダンの名は知られるようになり、サロンでも3等に入選する。また画商のデュラン・リュエルにより、彼の作品はアメリカでも販売されるようになる。その後、1886年と88年には国から作品も購入されている。


世界の空と水辺を描く
ブーダンは、風景画家のカミーユ・コローから「空の王様」と呼ばれ、ボードレールからは、「天気の美しさを表現する画家」と言われた。というのも彼の絵からは、季節や風向き、絵が描かれた時間帯まで分かるからだ。
画家は、「自分は、自然光や野外の研究、空模様を忠実に再現する画法に少しでも影響を与えたい。」と野心を抱いていた。
彼の絵は、他の若い印象派の画家のものより暗い色を使用していたため、イギリス人に受け入れられやすかった。ブーダンは、生涯4500点の絵画を制作し、同じ数のデッサン、アクリル作品、パステル画を残した。そしてその大半(228点)がル・アーヴルのアンドレ・マルロー美術館にて展示されている。
海や空ばかり描かれた風景画は一見単調に思えるが、ブーダンはそれぞれの作品でその季節、時間、天気を忠実に再現しようとしていた。これはモネの連作「ルーアンの大聖堂」の試みにも続く。ここまで徹底して同じモチーフ(空と海)の絵を集めたので、各作品の空模様や水面、光の反射の違いが良く分かった。それはまさに。彼が徹底的に自然現象の表現方法を追求した成果であった。


参考サイト/マルモッタン美術館
マルモッタン美術館の記事
マルモッタン美術館の情報
Musée Marmottant
『ウジェーヌ・ブーダン』展は4月の9日から8月31日まで
開館時間 火曜から日曜10時から18時(チケット販売は17時まで)、木曜日は21時まで開館(チケット販売は20時まで)、展示室は閉館15分前に閉鎖、閉館日 月曜、5月1日、12月25日、1月1日
住所 2, rue Louis-Boilly, 75016 Paris – France
電話 + 33 (0)1 44 96 50 33
地下鉄 9番線La Muette駅またはRanelagh駅
電車 RERのC線Boulainvilliers駅
バス 22番線La Muette – Boulainvilliers、32番Louis Boilly ou Ingres、52番La Muette – Boulainvilliers、63番Porte de La Muette、70番Louis-Boilly ou Ingres、PC1番Ernest Hébert ou Porte de Passy
駐車場 Vinci Park Passy (78, rue de Passy, 75016 Paris)