『パリ1874年、印象派を生み出す』オルセー美術館

マネの描いたヨーロッパ橋、印象派が描いた近代化するパリの様子 オルセー美術館
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オルセー美術館で開催されている企画展『パリ1874年印象派を生み出す』に行ってきました。

今年は印象派の第一回展覧会が開催されてから、150年目にあたる。この記念する年に、後の美術史に大きな影響を与えた、最初の印象派展を振り返る。

1874年、官展(サロン)で落選を繰り返す画家たちが集まり、オペラ座近く(35 boulevard des Capucines)で展覧会が開かれた。展示作品は約200作品、参加者が費用を負担し企画した。そしてこの展覧会は1874年から1886年まで、合計8回開催されている。

当初この展覧会は、「画家、版画家、彫刻家等、芸術家の共同出資会社」展と呼ばれた。この名前は、展覧会を開催するために設立された会社から付けられた。

『印象派展』という名前は、第3回目の展覧会から使用されるようになった。この呼び名は、第一回印象派展でモネの『印象 日の出』からとったものだ。モネの作品を見た評論家ルイ・ルロワが、この展覧会を『印象派』と名付け批判したのである。

1874年の官展、ラッサール、1874年 
1874年の官展、ラッサール、1874年 
印象 日の出、モネ、1972年
印象 日の出、モネ、1972年

印象派展に参加しなかったマネ

今回の展覧会では、印象派の父と呼ばれたマネの作品も見ることができる。マネは官展で成功を収めたかったので、印象派展には参加しなかった。しかしマネ抜きで印象派は語れない。というのもマネの作品が官展でスキャンダルを起こし、近代絵画の扉を開いたからだ。

そしてマネが印象派展に参加しなかったのは、ファンタン・ラトゥールの影響と言われる。ファンタン・ラトゥール(1836年‐1904年)は、1870年にサロンに出展した『バティニョールのアトリエ』で成功を収めた。この絵には将来印象派と呼ばれるモネ、ルノワールに加え、前衛的な芸術家マネやバジールがいる。その為、ファンタン・ラトゥールも印象派展に加わると思われていた。そして1874年に彼が官展に出した静物画は、印象派の作品と対峙する「より完成された」作品であった。これは印象派に対する彼なりの返事であった。

オペラ座の仮面舞踏会、マネ、1873年 
オペラ座の仮面舞踏会、マネ、1873年
花と様々なオブジェ、ファンタン・ラトゥール。1874年 
花と様々なオブジェ、ファンタン・ラトゥール、1874年 

印象派展で成功した画家 

第一回印象派展は、4月15日から5月15日まで開催されていた。この展覧会に出展するには審査がなく、会費を払っていることが条件となっていた。会費は月5フランを1年間収めると取り決めであった。そして作品が売れた場合、10パーセントのコミッションを支払う。印象派に参加した芸術家には、ドガやモリゾのようなブルジョワからピサロのようなアナーキストもいた。このように年齢も社会階級も異なる彼らの共通する目的は、自分の作品を自由に発表し販売することであった。

印象派展の入場料は有料で、カタログも販売されていた。また作品の販売価格も安くはなかった。最終的に来館者は3500人に及んだが、大赤字に終わり設立した会社は解散する。そのなかでも買い手が見つかったのは、シスレ、モネ、ルノワール、セザンヌなどほんの一部の画家のみである。

1877年の第3回印象派展は、印象派の誕生を決定的にするものになる。その理由は、カイユボットの経済的支援や助力があったためである。そのため印象派展の中でも一番質の高い内容となった。

印象派は、それぞれの信念を突き通す芸術家の集まりであった。しかし新しい世界の見方や今までにない表現方法にたいする探求力は共通していた。このエネルギーが印象派という作品の、魅力の原点なのであろう。

桟敷席、ルノアール、 1874年 
桟敷席、ルノアール、 1874年
アイロンをかける女、ドガ、1873年 
アイロンをかける女、ドガ、1873年 

参考サイト/オルセー美術館

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オルセー美術館の情報

Musée d’Orsay

開館時間 火曜から日曜9時30分から18時、木曜日は21時45分まで開館、閉館日 月曜日

住所 Esplanade Valéry Giscard d’Estaing 75007 Paris 

料金 大人(18歳以上)日時指定予約16€、大人当日券14€、18歳未満無料、

地下鉄 12番線Solférino駅、RER C線Musée d’Orsay駅

バス 63番、68番、69番、73番、83番、84番、87番、94番

駐車場 Carrousel du Louvre、Bac Montalembert 

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