『民衆を導く自由の女神(ドラクロワ)』ルーヴルに戻る

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民衆を導く自由の女神 ドラクロワ、ルーヴル美術館
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ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』が6か月の修復期間を終えモリアン展示室(Salle Mollien)に戻りました。この展示室はルーヴル美術館2階、ドゥノン翼にあります

『民衆を導く自由の女神』は1830年の7月革命が主題となっている。まさにフランスの歴史で王政復興から共和国に転換する時期のことである。この作品には、国の象徴であるフランスの国旗、自由の女神が被るフリジア帽が見える。そしてパリの象徴のノートルダム大聖堂も描かれている。国の象徴が盛り込まれたこの絵は、フランスを代表する文化財と言える。

今回の修復では、古くなったニスを除去し、作品の当時の色合いを取り戻す事が目的だ。

ドラクロワの例外的な作品

『民衆を導く自由の女神』は、ドラクロワの作品で最も有名な作品である。しかしこの作品は、彼のキャリアの中でも例外的な位置を占めている。というのもドラクロワのパリを題材にした絵は、この作品のみである。そして彼は同時代のフランスで起こった、労働者階級の出来事を大型作品として描いた。またこの絵は、成功を重ねるドラクロワの若き時代を凝縮している作品ともいえる。

彼は当時とても有名な画家であったが、スランプに陥っていた。ドラクロワは24歳の時から、サロンに発表していた歴史画で注目を浴びていた。しかし1828年の『サルダナパールの死』のスキャンダルから、彼のキャリアはストップしてしまった。

そんななか、1830年7月シャルル10世の勅令(言論の自由の廃止、議会の解散、選挙権の縮小)により民衆の反乱が勃発した。そしてドラクロワも、個人の自由と国家の主権を守るため立ち上がる。その後、反乱の成功を収めた民衆の中では、フランスへの愛国心が沸き立つ。同時に画家の感情も高まっていく。ドラクロワの心には、15年禁止されていたフランス三色旗の復帰、共和国時代に大使であり大臣であった父、ナポレオン時代の将校であった兄たちの思い出が思い浮かんでいた。

そして反乱を目の前で見ていた画家は、その2か月後に『民衆を導く自由の女神』の制作に取り掛かる。

『民衆を導く自由の女神』が放つメッセージ

『民衆を導く自由の女神』が発表され200年近くが経つが、そのメッセージ性が弱まることなかった。この絵は今でも、世界中で自由のイコンとして引き合いに出されている。そのため社会情勢や文化的背景により、常に再発見される作品といえる。このような、常に命を吹き込まれる作品というものは世界に多く存在しない。 

今回の修復では、その作品の魅力を最大限に引き出し、後世に残すためのものであった。 

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ルーヴル美術館の情報

Musée du Louvre

開館時間 月、木、土、日曜9時から18時、水、金曜日は9時から21時まで開館、閉館日 火曜日(チケット販売は1時間前まで、閉館30分前から展示室閉鎖開始)

住所 Rue de Rivoli 75001 Paris 

料金 大人22€、18歳未満無料

地下鉄 1番線、7番線Palais-Royal/Musée du Louvre駅、14番線Pyramides

バス 21番、27番、39番、67番、68番、69番、72番、74番、85番、95番

駐車場 1 avenue du Général-Lemonnier 7時から23時(ショッピングセンターCarrousel du Louvre 入口)

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