『ブルーノ・リリエフォッシュ』プチパレ

キツネ、リリエフォッシュ、1886年 プチ・パレ
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パリのプチパレで開催されていた、スウェーデンの動物画家リリエフォッシュ展に行ってきました。

この展覧会はプチパレが企画した、スウェーデン画家のABCトリオシリーズの第三段目になる。Aはアンデシュ・ソーン(Anders Zorn、1860年-1920年)、Bはブルーノ・リリエフォッシュ(Bruno Liljefors、1860年-1936年)、Cはカール・ラルソン(Carl  Larsson、1853年-1919年)。そして今回のリリエフォッシュが三人の中で一番地味な存在だ。また三人は年齢も近かったので仲良しだった。

ソーンは農家で祖父母に育てられ、リリエフォッシュは裕福な両親のもとストックホルム郊外に生まれ、ラルソンは貧しい家庭で育った。ソーンは人々の日常生活を描くことで、スウェーデン絵画に新風を吹き込んだ。ラルソンは、イラストレーターとして有名になり、スウェーデンの素朴な価値観を取り入れた作品を残した。そしてリリエフォッシュはスウェーデンの自然の中に生きる動物たちを描いていった

野生のうさぎ、リリエフォッシュ、1905年
野生のうさぎ、1905年
キツネと犬、1885年
キツネと犬、1885年

動物絵画は体力勝負!

ブルーノ少年は小さいころ体が弱かったので、厳格な両親により毎日の運動を課せられた。それは寒い冬でも雨の降る日でもこの日課は続けられた。そのため彼は強靭な体力を手に入れ、稀に見る体操選手になる。そしてストックホルムの王立芸術学校に入学する頃には、その理想的な体つきからモデルを務めることもあった。長身のブロンド画家は、こうしてスケッチブックを片手に野外で木の上に上り辛抱強くデッサンを続ける。 

白鳥、1897年
白鳥、1897年
波の中のアイダ-ダック、1899年
波の中のアイダ-ダック、1899年
朝の風、1901年
朝の風、1901年
離陸する雁(がん)、1899年
離陸する雁(がん)、1899年

ジャポニズムな絵画

リリエフォッシュは、パリ郊外のグレ・シュル・ロワンに滞在した際に浮世絵、陶器などの日本の工芸品に出会う。そしてそこでジャポニズムの影響を受ける。彼が描く日本画に見られるような縦長の構図や主題が中心からずれている絵は、当時の西洋の絵には珍しい。またこの技法は当時の印象派も取り入れていた。そしてこのような視点から描いた絵は、見る人が自然に作品に引き込まれていく。

動物画は地味な分野であるが、彼の作品からはスウェーデンの自然が伝わってくる。そして自然体の動物が、素朴な光景の中に描かれているのも魅力的であった。

花の咲く野原にいる猫と赤瀬のハヤブサのひな、1887年
花の咲く野原にいる猫と赤瀬のハヤブサのひな、1887年
5つの動物の習作、1881年
5つの動物の習作、1881年

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プチパレの情報

Petit Palais

開館時間 火曜から日曜10時から18時(チケット販売は17時15分まで、17時45分より庭と展示室の退室案内開始)、1月1日、5月1日、11月11日、12月25日閉館

住所 Av. Winston Churchill, 75008 Paris

電話 +33(0)1 53 43 40 00 (開館日の午前10時から18時まで)

料金 常設展無料

地下鉄 1番線13番線Champs-Elysées-Clemenceau駅、9番線Franklin D.Roosevelt駅

鉄道 RER C線 Invalides駅

バス 28、42、72、73、80、83、93

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