『マーク・ロスコ』ルイヴィトン財団美術館

赤の中の茶色と黒、ロスコ 美術展
赤の中の茶色と黒、1957年
この記事は約4分で読めます。

ルイヴィトン財団美術館で開催されている『マーク・ロスコ展』に行ってきました。

マーク・ロスコ(1903年‐1970年)は、アメリカの20世紀美術を代表する抽象画のアーティストだ。前回のパリでの個展は、1999年のパリ市立近代美術館で24年前である。

ロスコは当時のロシア帝国、ラトビアに生まれる。ユダヤ人の父がアメリカに移住したことから、1913年より彼もこの地に住む。その後、学業優秀でイエール大学に進むが学位は得ていない。そして彼は1923年よりニューヨークに住み、25年からパーソンズ大学に入学しグラフィック・デザインを学ぶ。

自画像、1936年
自画像、1936年
No7 、1951年
No7 、1951年

ロスコ作品の世界観

ロスコは「私が画家になったのは、絵画を音楽や詩のように、強烈な感情を引き出せるようなレベルに高めたいからだ。」といっていた。

また彼は1930年代までニューヨークの地下鉄の様子の描く。そして40年代からは抽象画に変わる。最初の抽象画は、画面に浮く、いくつかの色の塊が均等を取るように配置されたていた。その後それらの色の塊は減少していき、1950年代からは黄色、赤オレンジの組み合わせ、または青と白の組み合わせとなっていく。彼は、これらの三組または二組の長方形ををリズミカルにキャンバスに重ねていく。

No19、1949年
No19、1949年
No21、1949年
No21、1949年

ロスコの実現しなかった企画

1958年に制作された、シーグラム・ビルディング、フォーシーズンズ・レストランの『シーグラム壁画』は納品されなかった作品だ。その理由は、ロスコは自分の芸術作品をレストランの装飾にしたくなかったからだ。というのも当初自分が想像していた、作品の設置状況が途中で変更してしまったらしい。その後ロトコは、完成した作品をロンドンのテイト美術館に寄付した。

そして50年代後半から、ロスコのパレットは暗くなってゆく。1969年から翌年にかけて作られた黒とグレーの作品群は、彼のうつ病が影響しているという説もある。またこの色合いは、アルベルト・ジャコメッティの彫刻から影響を受けたともいわれる。というのもこれらの作品は、パリのユネスコ本部にジャコメッティ(1901年‐1966年)の彫刻と一緒に展示される予定で描かれたからだ。しかしユネスコは最終的にこのプロジェクトをエルズワース・ケリー(1923年‐2015年)に託した。

彼は自分の作品が展示される時、自分で作品展示を数センチ単位で調節していく。というのも彼の絵画は、展示方法次第で作品の魅力が損なわれるからだ。その為か展示の条件が合わないと、作品が完成しても納品はされない。

今回のルイヴィトン財団美術館の展示は、絵の明るさが引き立つように照明は暗くされていた。絵の前で何かを感じる、体験する絵画の展覧会であった。

シーグラム壁画 ロスコ
シーグラム壁画 1958年
無題、黒とグレー ロスコ 1969年
無題、黒とグレー ロスコ 1969年

参考サイト/ルイヴィトン財団美術館

抽象画の美術展の記事

ルイヴィトン財団美術館の情報

Fondation Louis Vuitton

開館時間 月、水、木、金 12時から19時、土、日曜 11時から20時(チケット販売は30分前まで)、閉館日 火曜日

住所 8 Avenue du Mahatma Gandhi, Bois de Boulogne, 75116 Paris 

地下鉄 1番線Sablons駅から950m

バス  73番La Garenne-Colombes-Charlebourg

シャトルバス  ルイヴィトン財団美術館の開館時間帯20分間隔で運行 停留所は44 Avenue de Friedland, 75008 Paris(地下鉄、RER線のCharles de Gaulle Etoile駅の2番出口前) 

タイトルとURLをコピーしました