『ポール・ポワレ』パリ装飾美術館

イブニングドレス‐トレド、1921年 パリ装飾美術館
イブニングドレス‐トレド、1921年
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パリの装飾美術館で開催されている『ポール・ポワレ』展に行ってきました。

ポール・ポワレ(1879年‐1944年)は、パリ生まれのデザイナーで20世紀初めに活躍した。彼は、5人兄弟のただ一人の男の子として生まれる。また姉妹のうちの一人、ニコールも後に人気のデザイナーとなった。1889年、彼が10歳の時にパリで万国博覧会が開催され、世界中の多様な文化を見ながら彼は大きくなった。そしてポール少年は、芸術と演劇に興味を持つ様になる。

1903年にポワレは、オペラ界隈に自分のブティックを出店する。そしてその2年後にドニーズと結婚する。彼は、ドニーズを創作の源として多くのドレスを仕立てた。その後、1907年に発表したコレクションは彼のキャリアの転機となった。そのドレスは、コルセットを使わず、真っすぐな細身のシルエットでブラジャーを使用していた。また彼は、女性をコルセットから解放した初めてのデザイナーとしても知られる。

イブニングドレス‐ウージェニー、1907年
イブニングドレス‐ウージェニー、1907年
ナイトコート‐イマージュ、1910年頃
ナイトコート‐イマージュ、1910年頃

多彩な分野で活躍するポワレ

ポワレは、パーティーを開くのが好きであった。1910年にはロシアバレー団が演じる『シェヘラザード』(『千夜物語一夜』から着想を得た)が人気を博し、パリでペルシアのモードが流行った。翌年ポアレは、この流行に便乗して『千夜物語二夜』というパーティーを自分の邸宅で開催した。このイベントには仮想した招待客が300人参加した。そしてパーティーの招待状は、彼の友人のアーティストがデザインをし入念に準備をした。また庭園に仮設の装飾を立ち上げ、オーケストラも呼ぶ大々的なものとなった。このイベントは、大成功を収めポアレの名前は一躍有名になった。

そして1911年ポアレは、洋服だけでなく香水も発売した。この香水ブランドは、長女の名前を取り、「ロジーヌの香水」と命名された。彼は、香水を発売した、初めてのデザイナーであった。

また同じ年にポアレは、収入の少ない家庭の少女たちに装飾美術を教える学校を開校する。この学校の名前も自分の娘の名前を取って「マルチーヌ装飾美術学校」と名付ける。そして授業では、ポアレの友人であるアーティスト、ラウル・デュフィが生地プリントを教えていた。

「千夜二夜物語」のドゥニーズ・ポワレ、ルパップ、1911年
「千夜二夜物語」のドゥニーズ・ポワレ、ルパップ、1911年
マルチーヌ・ポワレの夏のドレス、ポール・ポワレ、アトリエ・マルチーヌ、1920年頃
マルチーヌ・ポワレの夏のドレス、ポール・ポワレ、アトリエ・マルチーヌ、1920年頃

ポワレから影響を受けたデザイナー

1950年代にクリスチャンディオールが、ポール・ポワレに敬意を表したコレクションを発表した。その後、多くのデザイナーがポワレへのオマージュ作品を発表している。そしてこれらのコレクションにはポワレの名は出なくとも、彼から着想を得ているのがわかる。また別の形の影響として、ポワレと同じテーマを扱いドレスを制作しているデザイナーもいる。

20世紀初めに大成功を収めたポワレだったが、第一次世界大戦後は財政難に陥った。彼は、1925年パリで行われた現代産業装飾芸術国際博覧会の際、会場近くにショールームを作る。そのセーヌ川に浮かぶ三艘の船の内装装飾は友人のラウル・デュフィが担当した。この船には、レストランがあり、アトリエ・マルチーヌの装飾品、ロジーヌの香水が展示されていた。しかしこの企画は期待したほどの成功を収めることはできず、ポワレは経済的に窮地に陥ることになる。

彼は、アメリカに初めて渡りコレクションを紹介したデザイナーであった。そのためアメリカでは、「キング・オブ・ファッション」と呼ばれていた。しかし第一大戦後は、よりシンプルなデザインが流行るようになり、ポアレの洋服は廃れていった。その後は、ココ・シャネルなどが裕福層の人気デザイナーとなってゆく。

ナイトドレス、クロエ by カール・ラガーフェルド、1971年
ナイトドレス、クロエby カール・ラガーフェルド、1971年
スカートスーツ、コム・デ・ギャルソン、2013年
スカートスーツ、コム・デ・ギャルソン、2013年

参考サイト/パリ装飾美術館

『ウォルト』の展覧会

パリ装飾美術館の情報

Musée des arts décoratifs (Paris)

『ポール・ポワレ』展は2026年1月11日まで開催

開館時間 火曜から日曜11時から18時(チケット販売は17時15分まで)、木曜日は21時まで開館(チケット販売は20時15分まで、常設展は18時まで)、閉館日 月曜日、

特別閉館日 12月25日と1月1日、12月24日と12月31日は17時閉館

料金(常設展と企画展) 大人15€、25歳以下無料

住所 107, rue de Rivoli, 75001 Paris

電話  +33(0)1 44 55 57 50

地下鉄 1番線Palais Royal-Musée du Louvre駅またはTuileries駅、7番線または14番線Pyramides駅

バス 21番、27番、39番、68番、69番、72番、95番

駐車場 Carrousel du Louvre、rue des Pyramides

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