パリのルイヴィトン財団美術館で開催されていた『POPフォーエバー展』に行ってきました。
今回の展示会は、トム・ウェセルマンの作品150点が中心となっている。それに加えアンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタイン、ジェフ・クーンズなど、延べ35人の作品も見ることができる。
1950年代中頃、イギリスではじまったポップアートは60年に入るころアメリカに渡り変貌する。それはウォーホルの作品にみられるよう、身近なモチーフを主題にしていた。そして彼の作品のなかには、誰でも知っているソーダの瓶、スープの缶詰、人気女優マリリン・モンローなどを見ることができる。
またリキテンスタインの作品はアメリカン・コミックのような吹き出しがありる。また彼の作品の色使いや主題も、大衆が親しみを持てるポピュラーなものだ。そしてウェセルマンも60年代からポップアートの世界に入ってく。
ポップアートの巨匠ウェセルマン
『POPフォーエバー』、ポップアートはいつの時代も人々の心を楽しくさせる。その基盤を作ったウェセルマンは60年代から『グレイト・アメリカン・ヌード』の連作を始める。そして画家は、裸体が横たわるベッドの周りの家具も作品の中に取り入れた。またそれらの作品には、実物の椅子やTVなどがはめ込まれていることもある。さらに彼は、女性の顔や足など一部だけを描き、そこから官能的な女性を表現することにも成功する。
また同じ60年代にウェセルマンは、静物画のシリーズも制作する。それはどんどん巨大化し1メートルを超すタバコや口紅、歯ブラシになっていく。そしてキャンバスの形も長方形から胸の形に切られたもの(作家の自画像)、電話や煙の形に切り取られたものと変化していく。
ポップアートの現在、ジェフ・クーンズなど
そして今回は、現役のポップアートの作品も多く見ることができた。アメリカのジェフ・クーンズのバルーンドッグは現代ポップアートの代表作となる。この彫刻を見るだけで、作品が何を表現しているか分かる親しみがある。またステンレス表面に反射される自分の姿を見つけるのも楽しい。
日本の作家松山智一の作品3枚展示されてある。こちらもキャンバスも長細い不規則な形を成している。また『Safety Retrospective』の鏡右側にはデビッド・ハモンズのAfrican-American Flagが見られる。この旗は今回の展覧会でも展示されている。さらに『Serenity Exhale Protection』では17世紀のイタリア女流画家アルテミジア・ジェンティレスキの『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』が背景に見える。
晩年のウェセルマンの作品
最後に晩年のウェセルマンの作品を見ていこう。ウェセルマンは2004年に73歳で亡くなる。そして2000年には、切り取ったアルミに油絵の具を使用した作品を発表した。『Dinner at The Museum of Modern Art』は白地の長方形のアルミに色とりどりのアルミの破片が散らばる。そしてこの作品を横から見ると彫刻の様に立体なのが分かる。このことから絵画の様に色が重なり合っていることも見ることができる。
またポップアートの巨匠は、フランスの画家マチスからも影響を受けている。それはマチスのリンゴの静物画を自分のヌード作品に挿入たことからもわかる。
50年代からアメリカで広がったポップアートの流れは、現代に名まで続く。そしてポピュラーなポップアートは多くの人々に受け入れられる。半世紀ポップアートの作品を作り続けたウェセルマンは、ヌードや静物などの古典的なテーマを現代アートに変貌させた。
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ルイヴィトン財団美術館の情報
Fondation Louis Vuitton
開館時間 月、水、木、金 12時から19時、土、日曜 11時から20時(チケット販売は30分前まで)、閉館日 火曜日
料金 大人16€、25歳以下と学生10€、18歳以下5€、ファミリー料金32€(大人2名まで+子供4名まで)
住所 8 Avenue du Mahatma Gandhi, Bois de Boulogne, 75116 Paris
地下鉄 1番線Sablons駅から950m
バス 73番La Garenne-Colombes-Charlebourg
シャトルバス ルイヴィトン財団美術館の開館時間帯20分間隔で運行 停留所は44 Avenue de Friedland, 75008 Paris(地下鉄、RER線のCharles de Gaulle Etoile駅の2番出口前)往復で2€