パリのリュクサンブール美術館で開催されている『みんなレジェ(Tous Léger !)』展に行ってきました。
フェルナン・レジェ(1881年‐1955年)は、絵画、彫刻、セラミックなど多様な作品を作るアーティストである。最初は、ノルマンディー地方で建築の勉強していたが後に絵画に転向する。そして1900年にパリに来る。
彼の人生の転機は1907年にやってくる。レジェは、セザンヌの作品に出合い、衝撃を受ける。また同じ年にピカソやブラックのキュビズムを目の当たりにする。そして1910年から彼はキュービズム作品を発表する。
彼のキュービズムの絵は、画面いっぱいにオブジェやロボットが埋め尽くす。そしてレジェはセザンヌからの影響を逃れるため、円錐や円柱から形を作ることをやめる。また暗い色使いや活発に動くロボットは、人間味のない新しい様式を生み出す。これはイタリアの未来派の先駆けともいえる。
彼は、主題のすべてを描くのではなく、作品の中のオブジェのボリュームと配置を現実的な空間の中で区別することに腐心した。


レジェが惹かれた世界
今回の展覧会では、レジェの作品と彼から影響を受けたアーティストの作品を並べて紹介する。その中には、イヴ・クライン、ニキ・ド・サンファル、アルマン、セザールがいる。これら、ヌーヴォー・レアリスムのアーティストとレジェの作品の対話が楽しめる。ヌーヴォー・レアリスムは、日常生活の品を今までとは違う視点でとらえた。例えば、『モナリザと鍵』では、鍵束が絵の中心になって、モナリザを横によけている。このことから鍵が主役なのがわかる。
そしてレジェの作品は明るい色使いで、体を動かす人物や動くものが描かれている。例えば、サーカスの主題などを沢山扱った絵画がそうだ。それは、彼がモンマルトルの丘のふもとにあるモデラノ・サーカスの大ファンで、影響を受けたと思われる。そこでは、道化師、アクロバット、ジャグリングなどパフォーマーの体はまさに機械の様に動く。そして彼らの肢体は装飾の一部ともなる。
レジェは、活発に体を動かす人物や、機械、自転車などを主題にし絵を描く。そしてニキ・ド・サンファルも活発な女性像を描く。それは、バレーボールをする女性、サーカス団の女性または自転車に乗った女性などだ。この『ナナ(女性像)』シリーズの連作は特にレジェからの影響を受けている。色使いも鮮やかで似ている。


レジェの鮮やかな世界
展示の最後にニキ・ド・サンファルが作ったマイリス・デイヴィスの彫刻がある。マイリス・デイヴィスはアメリカのジャズ、トランペット奏者。この彫刻は、ニースのプロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊歩道)のネグレスコホテル前に2002年に設置された。
そしてトランペット奏者の後ろに見える絵は、フェルナン・レジェの壁画のプロジェクトで1951年に描かれた。彼女はレジェのこの抽象画からデイヴィスのジャケットの着想を得た。どちらとも明るい色彩で、見ているだけでうきうきした気持ちになってくる。彼らはアートや美しいものが、すべての人に幸せをとどけるために、人々の生活を埋め尽くさなければならないと考えていた。


参考サイト/リュクサンブール美術館
リュクサンブール美術館の記事
リュクサンブール美術館の情報
Musée du Luxembourg
『みんなフェルナン・レジェ』展は7月の20日まで開催されています
開館時間 月曜から日曜10時30分から19時、月曜日は22時まで開館(チケット販売は45分前まで)、5月1日閉館
住所 19 Rue de Vaugirard 75006 Paris
電話 01 40 13 62 00
料金 大人14€(予約は+1,50€)、16歳から25歳まで2人で10€(月から金曜の16時から)、16歳未満無料、Place aux Jeunes!チケット(26歳未満、月曜から金曜無料、インターネット予約のみMusée du Luxembourg – Paris (museeduluxembourg.fr))
地下鉄 4番線Saint Sulpice駅、10番線Mabillon、12番線Rennes、RER B線 Luxembourg
バス 58、 84、89番 Musée du Luxembourg、63、70、86、96番Église Saint Sulpice
駐車場 Marché Saint-Germain (rue Lobineau入口)、Saint Sulpice